オオサカジン

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『神戸に舞い降りた天使』

昨夜は神戸元町で一杯やっていました。

最近は仕事で神戸を訪れることが多くて、
さすがというか、街並みも行き交う人も
すべてがお洒落ですね。

生まれ育った大阪や、大学時代の4年間
を過ごした京都はもちろん、私にとって
港町・神戸も思い入れがたっぷりとある
大好きな町です。

大阪がミニ東京なら、神戸はミニ横浜と
いったところでしょうか。

しかしながら、その魅力は決して横浜に
負けていないと思います。

そんな神戸に、私にとっていまだに忘れ
られない思い出があります。

学生の頃のお話なんですが、友人と2人
で遊びに行ったときのこと。

阪急三宮駅前でボーっと時間をつぶして
いたら、目の前に年の頃5、6歳くらい
の外国の男の子がこちらを向いて立って
いました。

よくよく眺めてみると、何とも可愛らし
いというか、まるで天使のような面持ち
で私たちの方をじっと見つめています。

しばらくすると、その男の子がトコトコ
と近づいてきて、こうつぶやきました。

「インディ、インディ・・・。」

間近で見ると、本当にお人形のようです。

私が「インディがどうしたの?」と
聞いても返事がありません。

友人が「観光客ちゃうん?」と首を傾げ
ながら「ポリス。」と言ったので、
「もっとちゃんと発音せなあかんやろ、
ポォーリィースメ~~ン。」と私。

「ノー!」と今にも泣き出しそうな表情
で、インディを連呼します。

「おい、インディって何やろ?」

「お店かな? 喫茶店とか・・・。」

「さっぱりわからんわ・・・。」

「困ったなぁ・・・どないしよ。」

「・・・・・。」

「あっ!」

「そうか!」

「インディ・ジョーンズやっ!!」

ちょうど今、日本で劇場公開されている
『レイダース/失われたアーク』の続編が
インディ・ジョーンズだったことを思い
出した私たちは映画館まで案内してあげ
たところ「イエス、ヒヤー!」と大喜び。

「どうやらここやったみたいやな。」

「やれやれ、さあ行こか。」

外に出ようとすると、私の腕をグイグイ
引っ張り、チケット売場に連れて行こう
とします。

「この子、インディ・ジョーンズ観たい
みたいやで、どうする?」

「堪忍して。なんで外人の子連れてお前
と映画観なあかんねんな。」

「お前もまだ観てないんやろ? 俺、この
映画めっちゃ観たいし、入ろや。」

「もう知らんで・・・。」

「まあええやん・・・。」

同シリーズ1作目の『レイダース /
失われたアーク』も面白かったですが、
『インディ・ジョーンズ / 魔宮の伝説』
もハラハラドキドキしっぱなしで、
隣に座っている可愛い天使のことも
すっかり忘れて大興奮な私たち二人。

「めっちゃおもろかったなぁ。」

「さすが、ルーカス&スピルバーグ!」

「この子どうする? 絶対迷子やで。」

「親、必死で探してるはずやわ。」

「とにかく警察に連れて行こうや。」

「そやな、それがええわ。」

手を引いて、やっとこさ探し当てた交番
に一緒に入ろうとすると、子ども心に
なにげに察知したのか、握っていた手を
むりやり振りほどき、駆け出してしまい
ました。

「ほんまにかなわんなぁ~、こいつ。」

「まあ~、この辺ウロウロしとったら、
きっと親と会えるやろ。」

しばらく保護者気分で一緒に居ることに。

5分ほど歩いてると、今度は私たちにも
わかる言葉が飛び出します。

「ハングリー。」

「おいっ、腹減ったって言うてるぞ。」

「・・・・・。」

半ばヤケクソで近くにあったイタリアン
レストランに入ることにしました。

けれども、この子の天使のような笑顔を
見るとなぜか不思議と腹も立ちません。

レストランを出て、これからどうしよう
かと途方にくれていた私たちに向かって
お腹もふくれて、すっかりご機嫌な天使
がこう言いました。

「お兄ちゃんたちありがとーっ!!
(関西弁のイントネーション!?)」

「ママが待ってるからお家に帰るわ~、
バイバ~イ!!」

ピョ~ンとジャンプして、首に手を回し、
ホッペにチューされた私たち。

「・・・・・。」

「やられた。地元のクソガキやがな!!」

現在も神戸辺りに住んでいるかどうかは
わかりませんが、おそらく30半ばには
なってるはずで、青年実業家かあるいは
名うてのペテン師か、いずれにしても
したたかに暮らしていることだけは間違
いありません。

『神戸に舞い降りた天使』


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Posted by seiei at 12:21 │誠翔園ブログ