『絶望から希望へ』
ひとりで淀川の掃除を始めて丸5年、チームで活動し出して間もなく4年が経とうとしています。
一昨日のクリーンアップレンジャーズレポにもあるように、果てしない量の漂着ごみと廃棄ごみには気の遠くなる思いと5年前とまったく変わらずと言うか、更に酷い状況になっているのではないかという危機感から、過去何度かに分けてご紹介した記事をここに改めて投稿してみます。
とても長くなりますが、じっくり読んでいただけたら、またシェア等で拡散いただけたら嬉しいです。
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
「私が川や街を掃除し続ける理由」
3、4年前ぐらいから言われ出した「2050年には世界中の海に生息している魚の量より海洋プラスチックごみの量が重たくなる」も、もはや2050年まで時間がかからない状況ではないでしょうか。
少なく見積もって年間800万トンのプラごみが海に流出しているとのことですが、別の試算によると1200〜1400万トンとの報告もあります。
仮に800万トンとして、それがどのようなものかわかりやすく解説すると、港にズラリと並んだ廃プラ満載のダンプカーから1分おきに1台分のプラスチックごみが海に流れ込むイメージが一年間にわたって続くって感じですかね、とんでもない量です。
そんな海洋プラスチックごみのおよそ8割は、私たちが日々排出する生活ごみが河川や下水から流れ出したものなんです。
数年前にその事実を知った誠榮は、これはいかんと憤慨し、プラごみの海への流出を水際で食い止めるべく河川の清掃を始めました。
当初から応援してくれる人たちもいましたが、無駄やからやめときと忠告されたりもしました。
巷でよく聞く「人生に無駄なことは何ひとつない」とまでは断言できなくとも、川や街の清掃は間違いなく無駄ではないと言い切れます。
海洋につながる河川の清掃はわかるけど、街中の掃除と海のプラごみって関係ないのでは?
いえいえ関係は大ありで、とりわけ深刻なのがポイ捨てされたタバコの吸い殻なんですね。
吸い殻のフィルター部分はアセチルセルロース(セルロースアセテート)という合成樹脂で、その組成については厳密にはプラスチックと異なるとはいうものの、ほとんど同じと考えていいでしょう。
こいつらが排水溝から下水を通って川に流れ出してしまうと、いずれは海に到達します。
海上や海中を漂ううちに、フィルターの繊維がどんどんと劣化し細断され、昨今問題になっているマイクロプラスチック(直径5ミリ以下のプラスチック粒子またはプラスチック片)と酷似したマイクロファイバーとして、少なくとも十数年は分解されないまま海洋環境汚染の一因となります。
しかも、それらフィルターには元々ニコチンなどの有害物質が含まれており、さらには海中を浮遊している間に次々とPCBやダイオキシンなどの内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)を吸着する性質があります。
毒素の玉手箱化したマイクロファイバーが魚の口から入ったのち、最終的にそれらを食す人間の体内に蓄積されてしまうんですね。
これが一般のマイクロプラスチックと同じく危惧されるところです。
街の美観的にもよろしくないタバコのポイ捨て、どうにか止めてもらえないでしょうか。
吸い殻は排水溝から下水道を通って、下水処理場できちんと処理されるんじゃないの?
確かに日本の下水処理技術は極めて優秀ですが、すべての排水が処理施設に行くわけではありません。
下水道には「合流式(汚水と雨水が一緒の管)」と「分流式(汚水と雨水が別々の管)」があって、分流式下水道の場合、雨水管は下水処理場を介さずにそのまま川や海へ放流されます。
たとえ合流式下水道であっても、極端に雨量が多いときなどは溢れ出した分が構造上、直接川に流れていくようになっています。
したがって、マジでポイ捨ては止めてもらいたい。
あくまでも私の感覚ですが、歩きタバコからのポイ捨て率は9割5分以上、それも道路の側溝や排水溝へ投下されるパターンが多いです。
灰皿と勘違いしているのか、悪事と認識した上での証拠隠滅のつもりなのか、どうにも理解し難いですが、どうせ捨てるのなら普通に路上にお願いします。
これとて、さっさと回収しなければ、雨水や強風によって、結局は排水溝まで流されてしまいますが。
早朝に大阪梅田の商店街を90分間清掃すると、タバコの吸い殻をだいたい1000本程度拾い集めることになります(別名:ミスター千本丸太町・笑)
片付けても片付けても全くキリがないですが、やらないわけにはいきません。
街から川に流出したプラスチックや吸い殻が、やがて海にたどり着いてマイクロプラスチックやマイクロファイバーになってしまったらどうなるの?
私たちの生きている時間スケールで完全に自然分解することが困難なため、どうしようもありません。
実際のところ、海洋中を漂う無数のマイクロプラスチックを回収できる可能性も極めて0%に近く、現状なす術がないようなので、河川でも海岸でも微細化する前の原型を留めている状態(マクロプラスチック)で片付けることが必要となってきます。
たとえば、川の上流から漂着した一本のペットボトルを拾い上げることは、劣化し細かく砕けた粒子のサイズ感によって幅がありますが、だいたい一万個から十数万個程度のマイクロプラスチックが海洋へ流出拡散するのを阻止したことになるんですね。
もちろん原型のままのプラスチックごみも、多くの海洋生物たちにとって大きな脅威になることも申し添えておきます。
いずれにせよ、プラごみやタバコの吸い殻は街に存在している段階で可能な限り回収・処理しないといけないし、そもそも発生すること自体を抑制していかなければなりません。
当事者ひとりひとりの心の持ちよう、マナーやモラルを遵守する意識が重要なポイントになってきますので、ご理解よろしくお願いいたします。
誠榮さんは自分が頑張っていることを知ってもらったり、認めてもらいたくて掃除してるの?
承認欲求がまったくないとは言いませんが、殊更やったってる感をアピールするつもりはありません。
「選挙にでも出るんか?」とよく冗談で聞かれますが、そんなつもりは毛頭ないし、たとえ立候補したところで海のマイクロプラスチックを回収できる可能性と同じく当選確率も限りなく0%なので、時間とお金の無駄になるだけです(苦笑)
インターネットやラジオで環境問題について警鐘を鳴らすことも目的のひとつですが、実際に川や街で清掃している姿を目にしてもらって、何かを感じ考えていただきたいのです。
「これからは街を汚さないように気をつけよう」
「綺麗な状態を維持するにはどうしたらいいか」
「自分が出したごみは自分が責任を持たないと」
「環境を守るためになにかできることはないか」
「無性にボランティア活動をしてみたくなった」
上から目線で皆の意識を変えたいなんて、偉そうなことは言いません。
他人にお願いベースで頼んでみたところでそうそう期待はできないので、わが街、わが故郷、わが日本、わが地球をクリーンアップしようという気持ちがひとりでも多くの人たちに、特に子どもや若者に伝わればいいかなと思います。
環境中に放出拡散する分を含めたすべてのポイ捨てごみをカバーすることは不可能ですが、捨てる人間より拾う人間を増やして、できるだけゼロサム(プラスマイナスゼロ)に近づけたいですし、「拾う」ことから「捨てない」を導いていきたいですね。
色々と生意気言ってすみませんでした。

一昨日のクリーンアップレンジャーズレポにもあるように、果てしない量の漂着ごみと廃棄ごみには気の遠くなる思いと5年前とまったく変わらずと言うか、更に酷い状況になっているのではないかという危機感から、過去何度かに分けてご紹介した記事をここに改めて投稿してみます。
とても長くなりますが、じっくり読んでいただけたら、またシェア等で拡散いただけたら嬉しいです。
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「私が川や街を掃除し続ける理由」
3、4年前ぐらいから言われ出した「2050年には世界中の海に生息している魚の量より海洋プラスチックごみの量が重たくなる」も、もはや2050年まで時間がかからない状況ではないでしょうか。
少なく見積もって年間800万トンのプラごみが海に流出しているとのことですが、別の試算によると1200〜1400万トンとの報告もあります。
仮に800万トンとして、それがどのようなものかわかりやすく解説すると、港にズラリと並んだ廃プラ満載のダンプカーから1分おきに1台分のプラスチックごみが海に流れ込むイメージが一年間にわたって続くって感じですかね、とんでもない量です。
そんな海洋プラスチックごみのおよそ8割は、私たちが日々排出する生活ごみが河川や下水から流れ出したものなんです。
数年前にその事実を知った誠榮は、これはいかんと憤慨し、プラごみの海への流出を水際で食い止めるべく河川の清掃を始めました。
当初から応援してくれる人たちもいましたが、無駄やからやめときと忠告されたりもしました。
巷でよく聞く「人生に無駄なことは何ひとつない」とまでは断言できなくとも、川や街の清掃は間違いなく無駄ではないと言い切れます。
海洋につながる河川の清掃はわかるけど、街中の掃除と海のプラごみって関係ないのでは?
いえいえ関係は大ありで、とりわけ深刻なのがポイ捨てされたタバコの吸い殻なんですね。
吸い殻のフィルター部分はアセチルセルロース(セルロースアセテート)という合成樹脂で、その組成については厳密にはプラスチックと異なるとはいうものの、ほとんど同じと考えていいでしょう。
こいつらが排水溝から下水を通って川に流れ出してしまうと、いずれは海に到達します。
海上や海中を漂ううちに、フィルターの繊維がどんどんと劣化し細断され、昨今問題になっているマイクロプラスチック(直径5ミリ以下のプラスチック粒子またはプラスチック片)と酷似したマイクロファイバーとして、少なくとも十数年は分解されないまま海洋環境汚染の一因となります。
しかも、それらフィルターには元々ニコチンなどの有害物質が含まれており、さらには海中を浮遊している間に次々とPCBやダイオキシンなどの内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)を吸着する性質があります。
毒素の玉手箱化したマイクロファイバーが魚の口から入ったのち、最終的にそれらを食す人間の体内に蓄積されてしまうんですね。
これが一般のマイクロプラスチックと同じく危惧されるところです。
街の美観的にもよろしくないタバコのポイ捨て、どうにか止めてもらえないでしょうか。
吸い殻は排水溝から下水道を通って、下水処理場できちんと処理されるんじゃないの?
確かに日本の下水処理技術は極めて優秀ですが、すべての排水が処理施設に行くわけではありません。
下水道には「合流式(汚水と雨水が一緒の管)」と「分流式(汚水と雨水が別々の管)」があって、分流式下水道の場合、雨水管は下水処理場を介さずにそのまま川や海へ放流されます。
たとえ合流式下水道であっても、極端に雨量が多いときなどは溢れ出した分が構造上、直接川に流れていくようになっています。
したがって、マジでポイ捨ては止めてもらいたい。
あくまでも私の感覚ですが、歩きタバコからのポイ捨て率は9割5分以上、それも道路の側溝や排水溝へ投下されるパターンが多いです。
灰皿と勘違いしているのか、悪事と認識した上での証拠隠滅のつもりなのか、どうにも理解し難いですが、どうせ捨てるのなら普通に路上にお願いします。
これとて、さっさと回収しなければ、雨水や強風によって、結局は排水溝まで流されてしまいますが。
早朝に大阪梅田の商店街を90分間清掃すると、タバコの吸い殻をだいたい1000本程度拾い集めることになります(別名:ミスター千本丸太町・笑)
片付けても片付けても全くキリがないですが、やらないわけにはいきません。
街から川に流出したプラスチックや吸い殻が、やがて海にたどり着いてマイクロプラスチックやマイクロファイバーになってしまったらどうなるの?
私たちの生きている時間スケールで完全に自然分解することが困難なため、どうしようもありません。
実際のところ、海洋中を漂う無数のマイクロプラスチックを回収できる可能性も極めて0%に近く、現状なす術がないようなので、河川でも海岸でも微細化する前の原型を留めている状態(マクロプラスチック)で片付けることが必要となってきます。
たとえば、川の上流から漂着した一本のペットボトルを拾い上げることは、劣化し細かく砕けた粒子のサイズ感によって幅がありますが、だいたい一万個から十数万個程度のマイクロプラスチックが海洋へ流出拡散するのを阻止したことになるんですね。
もちろん原型のままのプラスチックごみも、多くの海洋生物たちにとって大きな脅威になることも申し添えておきます。
いずれにせよ、プラごみやタバコの吸い殻は街に存在している段階で可能な限り回収・処理しないといけないし、そもそも発生すること自体を抑制していかなければなりません。
当事者ひとりひとりの心の持ちよう、マナーやモラルを遵守する意識が重要なポイントになってきますので、ご理解よろしくお願いいたします。
誠榮さんは自分が頑張っていることを知ってもらったり、認めてもらいたくて掃除してるの?
承認欲求がまったくないとは言いませんが、殊更やったってる感をアピールするつもりはありません。
「選挙にでも出るんか?」とよく冗談で聞かれますが、そんなつもりは毛頭ないし、たとえ立候補したところで海のマイクロプラスチックを回収できる可能性と同じく当選確率も限りなく0%なので、時間とお金の無駄になるだけです(苦笑)
インターネットやラジオで環境問題について警鐘を鳴らすことも目的のひとつですが、実際に川や街で清掃している姿を目にしてもらって、何かを感じ考えていただきたいのです。
「これからは街を汚さないように気をつけよう」
「綺麗な状態を維持するにはどうしたらいいか」
「自分が出したごみは自分が責任を持たないと」
「環境を守るためになにかできることはないか」
「無性にボランティア活動をしてみたくなった」
上から目線で皆の意識を変えたいなんて、偉そうなことは言いません。
他人にお願いベースで頼んでみたところでそうそう期待はできないので、わが街、わが故郷、わが日本、わが地球をクリーンアップしようという気持ちがひとりでも多くの人たちに、特に子どもや若者に伝わればいいかなと思います。
環境中に放出拡散する分を含めたすべてのポイ捨てごみをカバーすることは不可能ですが、捨てる人間より拾う人間を増やして、できるだけゼロサム(プラスマイナスゼロ)に近づけたいですし、「拾う」ことから「捨てない」を導いていきたいですね。
色々と生意気言ってすみませんでした。

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